こんにちは、ばんぞうです。
キャンピングカーを選ぶときに決めなきゃいけないのが、どのグレード(型式)のベース車にするかということ。
値段も全然違いますからね。
キャブコンによく使われるカムロードだと、一番安いのが2WDのガソリン車。次いで2WDのディーゼル車、最も高いのが4WDのディーゼル車という構成。その差は約80万円。
初心者ほど「どうせなら一番いい4WDディーゼルを」と考えてしまいがちですが、80万円ってよく考えると新車のアルトやミライースなら別にもう1台買えてしまうほどの金額です。本当にそれだけの違いってあるのでしょうか?
本記事は、車にそれほど詳しくないフツーのお父さんでも、最適なベース車が選べるようそれぞれのスペックについて解説していきます。
トヨタのカムロードを基準に話しますが、基本的なことなので、他のどのベース車でも当てはまります。
スペック(諸元表)って何?どこを見ればいいの?
まずは、キャンピングカーのカタログに載っている「諸元表」についてです。
ここに大事なことがたくさん書いているのですが、学校や教習所で教えてくれるわけじゃないので、見方を知らない人がほとんどではないでしょうか。
以下カムロードの諸元表です。あまり重要でないところや全て共通する部分は省略した簡易版です。
説明のためにちょいちょい使うので、まずはざっと目を通してみてください。
カムロード諸元表 | ||||
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型式 | ディーゼルターボ2WD | ディーゼルターボ4WD | ガソリン2WD | |
排気量(型式) | 2982cc(1KD-FTV) | 1998cc(1TR-FE) | ||
エンジン出力 | 馬力 | 144ps/3400rpm | 133ps/5600rpm | |
トルク | 30.6kgm/1200~3200rpm | 18.6kgm/4000rpm | ||
オルタネーター | 12V-130A | 12V-80A | ||
タイヤサイズ | 195/70R15 106/104L LT(最大耐荷重950kg/1本) | |||
ホイールベース | 2545mm | |||
トレッド | フロント | 1440mm | ||
リア | 1615mm | |||
燃料消費率 km/l | 11.2 | 10.2 | 8.4 |
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンどっちを選ぶべき?
まず第一関門。ガソリン車とディーゼル車どちらにするかです。
まぁ誰でも思いつく違いは燃料です。ガソリンで走るか軽油で走るかの違いがあります。軽油の方が割安かつディーゼルエンジンの方が燃費がいいので、ランニングコストはディーゼル車の圧勝です。
少し計算してみましょう。
・執筆時点の1リットル当たりの価格はレギュラーガソリンが148.1円、軽油が126.3円。価格差は大体21.8円ですね。
・カムロード ガソリン車の燃費がリッター6.41km、ディーゼル車が8.33km。
※実際の燃費。みんカラ カムロード(トヨタ)の燃費より。
1km走るのにガソリン車は、148.1÷6.41で23.10円。ディーゼル車は126.3÷8.33で15.16円。1kmあたり7.94円の差となります。
新車価格の差はおおむね60万円ほどですから、燃料代だけでみると75,567kmが分岐点。手放すまでにこれ以上乗れば、ディーゼル車の方がお得になります。
ただ、都心部に住んでいて土日しか車に乗らない人は、年間走行距離3,000kmとかも珍しくはありません。そうなると10年乗ると仮定しても初期費用の安いガソリン車の方がお得になります。
次に、エンジンの性能(特性)について見てみましょう。
エンジンのパワーを示す指標が上の諸元表にある「馬力」と「トルク」です。
まずトルクですが、これはエンジンが1回転するときの力。自転車でたとえると、ペダルを漕ぐ力です。
ペダルを同じ1回転させるにしても、細い脚とガチムチのぶっとい脚では漕ぐ力が違いますね。当然太い脚で力強く漕ぐ方がグッと加速しますし、1漕ぎで遠くまで進めます。
次に、馬力です。これは「トルクx回転数」ですのでエンジンが出せる総合的な推進力と思ってもらって大丈夫です。
先ほどと同じく自転車の例でたとえましょう。ガチムチの脚力が3、細い人の脚力が2だとします。
ガチムチは力(トルク)が強いのででペダル1漕ぎあたりの推進力は1.5倍。よーいドンでスタートすればまずはガチムチの圧勝です。
ただし、ガチムチが1回転させる間に、細脚が驚異的な足の回転で2回転させられるとすれば状況は一転します。
ガチムチの推進力:脚力(トルク)3 x 回転数1 = 3
細脚の推進力:脚力(トルク)2 x 回転数2 = 4
となり、細脚の自転車の方がよく進み、最高速度も高くなるのです。
何となく、エンジンの性能についてわかりました?
では、キャンピングカーにおいては、どちらのエンジンが向いているのでしょう。
ここで、もう一度上の諸元表を見てみてください。ディーゼル車の馬力は144ps/3400rpmです。
psというのが馬力の単位で、rpmというのが回転数を指します。つまり回転数3400のときに最高出力の144psを出すことができるという意味です。
一方、ガソリン車の馬力は133ps/5600rpmです。最高出力を得るためにはディーゼルより回転数を高くする必要があります。
キャンピングカーはぶん回す車じゃないので少ない回転数で強い力が出せるディーゼルエンジンの方が有利です。
トルクの欄も同じく、ディーゼル車の方が低い回転数で強い力がでるのが分かりますね。車重が重く、高速走行しないキャンピングカーにおいてはディーゼルエンジンの方が向いています。
燃費も良くて低回転域でパワーが出せるとなるとディーゼルエンジンはメリットしかないように思いますね。
でも、もちろんガソリンエンジンに比べてデメリットはあります。それは価格面と重量です。
価格に関しては、先ほど燃費の欄でも少し言いましたが、ガソリン2WDとディーゼル2WDで約60万円。
車重に関しては、カムロードの重量こそ公開されていませんが、元になったダイナ(1.5t)で比較すると、150kgもディーゼル車の方が重くなります。事故のリスクを考えると、やはりキャンピングカーは軽いに越したことはありません。
それらに比べると小さなことかもしれませんが、音が若干うるさいです。走行中はそれほど気にならないかもしれませんが、アイドリング音はハッキリ違います。
人によって許容範囲はちがうので、ぜひ購入前には両タイプ試乗してみることをおすすめします。
4WDのメリット・デメリットと選び方
2WDとか4WDがわからない人のために、劇的にカンタンに説明します。WDの前の数字が動くタイヤの数です。
4WDなら4輪すべてに、2WDなら前か後ろどちらかのタイヤ2輪にエンジンからの動力が伝わります。2WDの残りの2輪は引っ張られて回るだけです。
だから?ですよね。
もちろん部品点数を増やしてタイヤを4輪とも動くようにしているのだからメリットはあります。
1番は悪路走破性。雪道やぬかるみなんかがある整地されていない場所で強さを発揮します。全てのタイヤにエンジンのパワーが伝わるので滑りやすい路面でもしっかりグリップします。
あとは、発進性能が高いので出足がスムーズ、かつ直進安定性が高く、コーナリングも安定しやすいので、運転がラク。おまけにキャンピングカーの鬼門である坂道にも強い。
っていいとこだらけやないか!
そうです。メーカーの営業マンもだいたい「4WDにしておけば間違いない」と言うでしょう。
ただし上記のメリットはあくまで「駆動の仕組み上2WDと比べて」という意味です。性能が段違いになるということではありません。
たとえば、4WDだから雪道無敵ではありません。凍結路面や粗目雪では十分な注意が必要です。
せっかくの4駆もタイヤが空転してしまえば意味がありません。一度すべってしまえば2WDと同じです。やはり重いキャンピングカーでの雪道は十分な備えと安全運転が必要です。
また、逆に2WDだからといって雪道を走れないということではありません。除雪の入るメジャーなスキー場に行くくらいなら(スタッドレスタイヤ装備の)2WDでも特に問題は起こりません。
カムロードはFR(後輪駆動)。普通車ならば雪道との相性が一番悪い駆動の仕組みですが、後ろの荷重が大きいキャンピングカーは話が別。FRの方が雪道走破性は高くなるのです。
つまり、走行性能に関しては4WDの方が高いのは事実ですが、2WDがまるでダメというわけではないのです。普通に走れます。
では、4WDのデメリットはというと、やはり価格と車重が増えることです。価格でいうと約20万円、重量でいうと80kgほどオーバーします。
あとランニンングコストも増加します。燃費も悪くなりますし、雪道を走行することを前提に考えるとタイヤのコストも2倍必要です。
雪が日常的にある地域や、スキー・スノボによく行く、渓流釣りなどアウトドアレジャーの使用を前提としている場合は、4WD以外の選択肢はないかもしれませんが、たまにスキーに行くくらいなら2WDを選んでも十分なメリットがあるといえるでしょう。
金額が多少張っても、走行性が高いなら4WDを選びたいというのもわかりますが、初期投資の金額差で足回りを強化する方がトータルの走行性能はアップするでしょう。
なので、私が思う一番の決め手は、「悪路・雪道を走る頻度」だと思います。
キャブコンのベース車の決め方まとめ
ベース車の決め方は、キャンピングカーの使い方をしっかり想定することです。
使用する頻度・走行する場所・乗車人数(家族の人数)などでベストな選択は変わってきます。
たとえば、ディーゼル4WDは性能が高いですが、ガソリン2WDに比べて重量が230kgも増加します。一般的なキャブコンの架装が約1,000kgということを考えるとかなりの重量だということが想像できると思います。
さらに、乗車人数が5人以上となるなら、タイヤに掛かる負担が高くなりバーストの危険性が高まってしまいます。
また、価格差も小さくありません。そしてその差でできることはたくさんあります。キャンピングカーの装備を豪華にすることもできますし、上位車種を選択することもできます。(バンテックでいうとコルドシリーズとZILの実質的な差に相当します)
タイヤやスタビライザーの強化、エアサスなど足回りに予算を使えば、走行性能も乗り心地もアップさせることができます。
普段使い用の車をもう1台買うことだってできますね。使い方は無限です。ベストな形は人それぞれだ思うので「具体的」に考えてみてください。
最後にもう一つだけ。「購入後はこうなるだろう」というのはあまりおすすめできません。
たとえば、「今はあまりウインタースポーツをしないけど、キャンピングカーを買ったら車中泊できるし、スキーに行くようになるだろう」みたいな理由で4WDのディーゼル車を選ぶことです。
今、ウインタースポーツをしない理由が車中泊ができないことだけでないかぎり、十中八九行くようなことにはなりません。ご注意を。