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釣り人のための出刃包丁購入ガイド|鋼材・産地などマニアックすぎる解説

釣りの雑記

どうも、ばんぞうです。

釣り人たるもの1本は持っておきたい出刃包丁の話です。

ピンからキリまであるんで、どれ買えばいいか迷いますよね。

そんなあなたの包丁選びをナビゲートします。

正直言うと・・・この記事の7割くらいが、直接包丁選びと関係ない予備知識です。

つい悪癖が爆発して、日本一長い包丁記事(推定)になってしまいました。

ギア選びに妥協したくない人は、全部読んでくれたらいいですが、さっと選びたい人は目次から気になるところだけかいつまんで読んでください。

ばんぞう
ばんぞう

この記事の執筆者です。

  • 釣り歴:7年
  • 好きなジャンル:ショアジギ・ジギング
  • メインフィールド:大阪・福井
  • 釣行:年間50回前後

サビキから自ら出船しての釣りまで広く活動しています。

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結論:白紙2号の16.5cmの出刃包丁がおすすめ

この記事めっちゃ長いので、最初にまとめると

釣り人は、「2万円前後の白紙2号16.5cmの包丁買っとけ」です。

もちろん異論は認めます。

「包丁に2万も出せん!」という声もわかります。

でも、数千円の包丁との実力差は歴然。一生使うギアとして考えると全然アリです。

では、その理由を細かく話していきます。
↓↓↓

出刃包丁の鋼材について

出刃包丁の性能や特性を知る上で、鋼材は重要なので押さえておいてください。

炭素鋼(ハガネ)系

和包丁の主流です。錆びやすいですが、切れ味の鋭さと研ぎやすさは抜群です。

白紙2号

出刃包丁で最も広く使われる鋼材です。

非常に研ぎやすく、鋭い刃がつきます。適度な靭性(粘り)があるため、魚の骨に当たっても欠けにくいです。

ちなみに白紙シリーズは1~3号まであり、番号が小さくなるほど硬くなり切れ味は増しますが、研ぎやすさや欠けやすさは下がってしまいます。

青紙2号

クロムやタングステンが添加された鋼材です。

白紙シリーズよりも「長切れ(永切れ)」するメリットがあります。

半面、鋭さは少し劣ってしまいます。

切れ味が落ちにくいため、大量の魚を捌く人に向いています。

ステンレス鋼系

錆びにくく、メンテナンスが楽。基本的にハガネに比べると切れ味や研ぎやすさの面で劣りますが、技術が進歩しハガネに迫る切れ味のものも登場しています。

銀紙3号

「錆びないハガネ」と呼ばれるほど、炭素鋼に近い研ぎ感と切れ味を持ちます。

プロの現場でも「手入れが楽で切れ味も十分」として、銀三の出刃を選ぶ料理人が増えています。

VG10

武生特殊鋼材製の高級ステンレス鋼。コバルトを含み、硬度が高いです。

非常にに硬く長切れしますが、粘りが少ないので、硬い骨を叩くような使い方をすると欠けてしまいます。

出刃包丁の鋼材メーカー ビッグ3

さて、鋼材の予備知識としてメーカーも押さえておきましょう。

1.プロテリアル(旧:日立金属)

日本のプロ用出刃包丁の90%以上は、このメーカーの鋼材を使っていると言われています。

実は、前述の青紙・白紙・銀紙といった名称は、ハガネの共通規格ではありません。

すべてこの会社の製品名です。

ハガネ界の絶対王者やね・・・

日本古来の製鉄法「たたら吹き」の技術を近代製鋼に継承してきた会社です。

不純物(リンや硫黄)を極限まで低減させる技術が世界最高峰。

島根県安来市に工場を持つことから、同社の刃物鋼は「安来鋼(やすきはがね / YSS)」とも呼ばれます。

2.武生特殊鋼材

福井県越前市(越前打刃物の産地)にある鋼材メーカー。特にステンレス鋼や、異なる金属をあらかじめ貼り合わせた「クラッド材(利器材)」の開発で世界的に有名です。

もともとハガネに強かった日立に対し、サビに強いステンレス系で革新を起こし、世界的にも有名な会社です。

高級出刃包丁(打ち刃物)の鋼材シェアは2番目かと思います(自分調べ)

3.愛知製鋼

トヨタ自動車グループの製鋼メーカー。自動車部品で培った技術を活かし、安定した品質の刃物鋼を供給しています。

品質のバラつきが少なく、加工もしやすいため、大手包丁メーカー(関市の量産工場など)で広く採用されています。

白紙2号・白2・白二鋼の違いについて

さらにマニアックな話になるので、飛ばしてもらっても構いません。

工房や鍛冶屋によって、白紙2号、安来白紙2号、白二鋼など色んな表記がありますが、実はどれも同じ。プロテリアルの白紙2号を指します。

注意が必要なのは、単に白2と書いてある場合。

プロテリアルでなく武生特殊鋼材のハガネです。

白紙2号に近い金属ですが、NiやCrを微量添加し、粘りや焼き入れ性を上げた鋼材です。

良い悪いではなく違う鋼材なので注意してください。

出刃包丁の産地ごとの味の違いについて

材質の次は産地やブランドです。

国内の代表的な刃物産地の「鍛冶職人(ブランド)・産地による“味”の違い」を、整理してみます。

産地主な特徴得意な包丁
堺(大阪)分業制による最高級の切れ味。プロの和食職人シェアNo.1。出刃、柳刃(刺身)、薄刃
関(岐阜)世界三大刃物産地の一つ。近代的な工場が多く、品質が安定。牛刀、三徳(ステンレス系)
三条(新潟)一貫生産(一人が全部作る)。骨太で頑丈、力強い造り。厚手の出刃、菜切り
越前(福井)デザイン性。ダマスカス模様など美しく軽い包丁。牛刀、ペティナイフ
土佐(高知)実用性・高コスパ。無骨な「黒打ち」仕上げが特徴。 両刃出刃、舟行

より詳しく見てみましょう

和食職人シェアトップ「堺」の出刃包丁について

堺(大阪)の包丁はプロ向け市場で90%以上という圧倒的なシェアを誇るといわれています。

堺の最大の特徴は、一人の職人が全部作るのではなく、以下の3つの専門家による完全分業制です。

  • 鍛冶職人: 鉄を叩いて形を作り、焼き入れを行う
  • 研ぎ師: 刃を研ぎ出し、鏡面仕上げや鋭い刃付けを行う
  • 柄付け師・問屋: 柄を装着し、最終的な歪みや品質を厳格にチェック

一人の職人だと、どうしても得意・不得意が出ますが、堺はその道のプロが持ち場を担当するため、高い品質に仕上がるとされています。

世界が認める「関」の包丁について

関の刃物の特徴は、世界に誇る近代的な製造技術と、圧倒的な実用性です。

品質の安定製が高く、ステンレス鋼や、粉末ハイス鋼などの「硬くて錆びにくい次世代鋼材」を加工する技術は、世界をリードしています。

洋包丁のシェアが高く、和食向けの出刃包丁の存在感はあまりありませんが、ステンレス鋼の加工技術が高いので「手入れが楽で、かつ切れ味が欲しい」という職人は、関のメーカーが作るステンレス鋼の出刃を選びます。

実力本位のタフさ「三条」の出刃包丁について

三条出刃はその重みと厚みが特徴。

大きな魚を捌くのに向いているため、魚市場や仕込みの現場で良く使われるそうです。

釣り人目線で見ても、ブリの硬い背骨やカマの部分を割る際、三条の出刃なら刃が欠ける恐怖を感じることなく、自信を持って力を入れることができるでしょう。

美しさと革新性が評価される「越前」の包丁について

近年の高級包丁ブームの火付け役とも言われています。

キムタクも越前の包丁を愛用しているそうです。(ちなみに僕も愛用しています)

独自の鍛造技術「二枚広げ」で軽く薄く作る技術に優れ、魅せるデザインも得意なため、主に洋包丁の分野で人気があります。

鋼の出刃包丁は少しマイナーな印象ですが、十分使えます。もちろん、出刃は薄くないですよ。

自由鍛造と黒打ち「土佐」の出刃包丁について

土佐刃物の最大の特徴は、型を使わず、職人が五感とハンマーの音を頼りに鉄を叩き出す「自由鍛造」という技法にあります。

何度も叩き延ばすことで鉄の密度が高まり、粘りのある刃になります。

また、表面が真っ黒な「黒打ち」が多いことも土佐の特徴です。

焼き入れの際に出る酸化被膜をあえて残す仕上げです。これが天然のコーティングにもなり、錆に強くなります。

どちらかというと見た目より実用重視の刃物です。

また、両刃の出刃が多いのも土佐の特徴のひとつです。

両刃:表面からも裏面からも砥がれている刃。普通の出刃は片刃。

数千円の安い出刃包丁との違いについて

Amazonやホームセンターで売っている数千円の和包丁と高級和包丁の違いについて説明します。

素材(鋼材)が違う

高い包丁は不純物を極限まで取り除いた白紙や、より硬く、より長持ちするために希少金属を合わせた青紙などの高級鋼材を使っています。

一方安物はSK鋼という、若干不純物の混ざる鋼が採用されています。

基本的な工法が違う

高級包丁は、炉で真っ赤に熱した鋼材をハンマーでたたきのばして成形する打ち刃物(鍛造刃物)です。

基本は1つ1つ手作りで、工程も多くなるため価格は高くなります。

一方安物は、プレス機で成形する抜き刃物(プレス加工刃物)です。

作りが違う

買ってみると分かるんですが、安い出刃包丁は薄いです。

産地の出刃包丁は峰(背)が厚く、包丁自身の重みで骨を断てるように設計されています。

また、裏スキの有無や精度も違うので、安物は包丁に身がくっついたり崩れたりしやすいです。

ここが知りたい出刃包丁「Q&A」

最後に、良くある質問をQ&A方式でまとめます。

Q
初心者でも「はがね(炭素鋼)」の包丁を買うべき?
A

はい。初心者こそ鋼(白紙2号)が良いと思います。切れ味が鋭いので安物との違いが分かりやすいですし、和包丁の基本なので使い勝手を学ぶ意味でもおすすめです。

Q
6寸(18cm)の出刃包丁は使いにくいですか?
A

いいえ。むしろブリなんかの大型魚をさばくのがメインなら6寸が良いと思います。ただ、やはり大きくて重いので小さい魚もとなるとやりにくい面も出てきます。

Q
堺の包丁が一番良いですか?
A

釣り人にとってベストだとは断言できません。堺の包丁は高品位ですが、分業制やブランド力の影響でちょっとお高い印象があります。

Q
堺の包丁がプロ向けシェア90%以上って本当?
A

個人的には疑問です。プロの範囲がごく狭い定義(和食、割烹とかの料理人)だと思いますが、それでも9割は言い過ぎかと思います。他にも有名ブランド(工房)ありますし…。でも、使っている人やお店は多いのは事実だと思います。

Q
両刃の出刃包丁ってどうですか?
A

家庭用ならアリだと思います。両刃は刃先が「二等辺三角形」の形をしていて厚みがあるため、片刃よりも刃こぼれしにくく、ブリのような大型魚の太い骨を叩き切る際も使いやすいと思います。三枚おろしにする際、身が残りやすいなどデメリットもありますが、素人は片刃でやっても結構身が残るので、ほぼノーカンです。

Q
左利きは専用包丁をつかわないとダメですか?
A

利き手に合わせた包丁がベストです。ただし、左利き用の出刃包丁は高いので、両刃の出刃包丁を使うのもアリだと思います。

Q
同じ白紙2号の鋼材を使っていれば包丁の性能は同じですか?
A

いいえ、違います。包丁の性能を左右するのは「熱処理(焼き入れ)」と「研ぎ」です。 特に「焼き入れ」は職人の腕の見せ所。同じ鋼材でも、温度管理一つで「硬すぎてすぐ欠ける刃」にもなれば、「粘り強くて鋭い刃」にもなります。

Q
鋼の包丁ってどのくらい錆びやすいですか?
A

洗ったあと、水切りかごに入れて乾かしていると錆びるレベルです。水洗い後は水分を拭きとらないといけません。ただし、10分や20分で錆びるわけではないので、板前さんみたいに料理中もマメに包丁を拭くといったことはしなくても大丈夫です。

Q
どのくらいの頻度で砥がないといけないですか?
A

理想は使う度に軽く砥ぐ。だそうですが、素人には無理(めんどい)です。それに1回で捌く魚の量も少ないので、5~6回に1度くらいでも良いと思います。実は・・・僕はもっと少ないです。

Q
出刃包丁にシャープナーは使えますか?
A

片刃用のシャープナーもあるようですが非推奨の声が多いです。理由は片刃包丁の形が崩れるからとのこと。私には本当かどうかわかりませんが使うなら自己判断で。

Q
正元や有次の出刃包丁はどうですか?
A

良い品だと思います。今回刃物産地にフォーカスしたので本文では触れていませんが「東の正本、西の有次」と言われるくらい有名です。人気の老舗ブランドなので高価ですが。

Q
良い出刃包丁を安く買う方法はありますか?
A

産地に出向いて直売所での購入がおすすめです。越前や土佐などコストパフォーマンスの良い産地の包丁なら1.5万円からで手に入ると思います(2026年1月時点)

以上です。

ぜひ一生物の包丁を見つけてください!

enjoy!